DAY 12
健康で健全なところから
「自殺」について思えば、
悲しみや苦しみや、
絶望感に包まれて
人は死に向かう
…ようだったけれど
少なくとも私の実際は違った。
どちらかと言えば
むしろ
希望にも似たような、
それは
生きていることの罪悪感…、
生きていて申し訳ない思い…が、
頭も心も埋め尽くしていた存在を
終わらせることが出来るわけだから
つまりは
とても良いことをするのだと
正しい行為が出来るのだと
「前向きな自殺」ぐらいに
希望を持っていた感覚だった。
……わかるだろうか。
鬱 うつ の状態は
こんな風に思考が違う。
違う国の、違う世界の、
文化の違いを持ったように
考えること、感じることが
違う。
私は警察に自殺を止められ
留置、一時保護から
一夜明け、
妻が迎えに来た時に
号泣している姿がとても不思議に見えた。
「私が消えた方が妻は幸せになれる」
「妻は私が消えることを望んでいる」
「生きていて本当に申し訳ない」
心からそう思っていた。
だから死にに行けた。
私が生きていることに
激しく泣きじゃくる彼女を見て、
自分の思いと矛盾した状況を
上手く受け入れられなかった。