消えたい は 消えない

鬱 うつ 病のリハビリのような 意味のあるような無いような

DAY 62

 

毎回毎回、

バイタルチェックの度に聞かれる

排便確認。

 

 

徐々に、

日に日に、

便の回数は減り、

便秘は完成した。

 

ほぼ100%の人がなるらしい。

 

 

精神科の閉鎖病棟の「トイレ」は

色々問題がある。

 

 

手洗い洗面台の下に

ずっとしゃがみ込んでいる人がいたり、

 

何かをずっと喋り続けて

洗面台前を行き来する人がいたり、

 

もちろん、たまに で

何の危害も無いのだけれど、

やっぱりちょっと、

難しい。

 

 

そんな中で

便秘でのトイレは

恐ろしく時間を要するから、

出来るだけ誰とも

バッティングしないことを願っていた。

長い時は

1時間ぐらい頑張っていた気がする。

 

私が居た病棟は

大小1つずつのトイレ。

占領しては迷惑が掛かる。

 

そして、

ノックを繰り返す人。

明らかにすぐ外に何故か居る人。

 

…など、

行動が読めない人の動きは

密室の中では恐怖のように感じた。

 

 

 

飲んで8〜12時間後に効く下剤が

常備されていたが

私は一度も飲まなかった。

 

あの便秘は二度と体験したくないが

下剤は好きじゃない。

 

 

他に余計な薬は

体内に入れたくない思いがあった。

DAY 61

 

外部と通信出来る物は

一切認められない。

なのでスマホが無い。

 

 

そして

差し入れでもらった

紙とペン。

 

…と文字練習帳。

 

 

日々書く、書く、書く。

 

どこか

精神的安定を祈るように

書く、書く、書く。

 

 

余計なことを考えないように

過ごすには

書くのは良いのかもしれない。

 

 

こういう環境だから

やれているのだろうけれど。

DAY 60

 

お見舞いは

原則、家族しか許されない。

 

まぁ、精神科の閉鎖病棟

そういうものだろう。

 

 

私は外界を知らずに

救急車で運ばれて入った為、

どうやって病院にアクセスするのかを

知らない。

 

だから、

身内がどうやって来るのか。

来るのが大変なのか。

時間が掛かるのか。

全く分からず、心苦しかった。

 

 

世界との断絶が良いことだと思い、

それに失敗して生き残り、

迷惑を掛ける。

 

迷惑に迷惑を重ねる。

 

そして

この病棟に入れられた時点で

もう自分ではどうにもならない。

 

 

世話になること

休むこと

回復すること

 

他に選ぶ権利はなかった。

DAY 59

 

たくさんの薬がある。

 

先発医薬品、後発医薬品

同じ内容でも

出す会社で名前がバラバラもある。

 

 

血中濃度によって

効果が変わる、

効果が出るものもある。

 

つまり、

一定期間をキッチリ飲んで

血液中にどれだけ含まれたか

それで初めて「効いてる、効いてない」が

判断されるものも多い。

 

血中濃度

採血で確認しないとならないものもある。

人によっては中毒になってることもある。

 

 

精神病の薬が、身体の痛み止めにも効き、

処方されることもある。

 

睡眠薬は、

鬱病の薬と同じこともある。

 

 

 

私はネットで

かなりの量の資料を読んでいた。

それなりに医師と

薬の名前で話せたりはする。

 

 

…が、

所詮

素人が調べたぐらいのことでは

分からない現実があった。

 

すぐには効かない。

すぐには分からない。

副作用の出方は人によって違う。

ほぼ必ず副作用が出て、慣れる必要がある薬もある。

 

素人には分からない。

その先の臨床的知識がたくさんある。

 

 

ネットには

様々な情報がある。

様々な書き込みがある。

色んな人が色んな体験を書く。

 

 

 

一人一人、違う人間。

年齢、性別、身体の大きさ、生活リズム…

 

見えない誰かは

あなたとは違う人間。

 

どんなに似た状況に感じても

あなたとは違う人間。

 

 

 

 

精神を病み、脳を

心を治したいなら、

自分の判断で

 

薬を手にしちゃダメだ。

DAY 58

 

精神科に通う前から、

 

ネットで調べた知識で

ネットで買えるところを見つけ

 

薬を手に入れていた。

(違法では無く)

 

 

そして

最初の病院には

あまり通うこと無く終わり、

ますます色々購入しては

 

飲み試す日々を送った。

 

もちろん、

コーヒー、カフェイン錠剤、エナジードリンク

併用して。

 

 

とにかく仕事が

エンドレスに出来るように

とにかくテンション、モチベーションを

高く維持し続けるように

 

一人ブラック企業

パワハラの加害者被害者を一人二役

望んでやっていた。

 

 

用法用量、

悪いと分かっていても

勝手に増やしていく。

 

頭が痛くても頭痛薬をガブ飲みしないだろう。

胃が痛くても胃腸薬をガブ飲みしないだろう。

風邪をひいて、風邪薬は?

目が痛くて目薬は?

 

 

脳にまつわる薬については

人は乱用する生き物らしい。

 

 

医者と手を組む必要性は

薬の適切な摂取を踏まえて治すことにある。

DAY 57

 

結局、

脳が壊れた時、

心が壊れた時、

 

どんな名医に診察されても

どんな病院に入院しても

 

 

規則正しい時間に起き、

規則正しい時間に眠り、

規則正しく食事を取り、

規則正しく薬を飲む。

 

 

これに

自分という肉体をはめ込んで

その変化を待つことしか

出来ないのかもしれない。

 

薬には賛否があるだろう。

でも、大多数は投薬ベース、

又は併用して治療が行われると思う。

 

 

私は

自分で調べて

自分の判断で

ネットで薬を買っていた。

 

 

それは誤りだったと

入院して分かった。

DAY 56

 

通常の病院みたいに

個別のカーテンは無かった。

 

きっと、ある所はあるのだろうが…。

 

 

この部屋は

3人が限界の部屋で

追加の人はずっと入らず、

 

同室の人はとても静かだったので、

この部屋は一日中無音だった。

 

 

規則正しい時間に起き、

規則正しい時間に眠り、

規則正しく食事を取り、

規則正しく薬を飲む。

 

延々と繰り返す

この何もない日々は、

 

まともな人間に

戻してくれるのだろうか。

 

 

それを日々繰り返し思った。